その4:想い想われ、スリ、スラれ

 

今月に入って、とある施設に行く機会が2回ありました。
無条件で幸せになれる、魔法の建物「スーパー銭湯」。

広くて種類の充実したお風呂やサウナは勿論、レストラン、休憩室、漫画読み放題などなどそのサービスは挙げたらキリがないし、実際に無限。楽しみ方は無限なんです。
特に地方ではその建物自体が、周辺住民が催し物をやるための集会所、もはや地域の中枢と化しており、交流の場としてかなり賑わっている印象である。過去に訪れた感想なので場所によって差はあると思いますが。
私は普通の銭湯(入浴料金が一律のところ)にもよく行きますし、それでも十分幸せにはなれます。が、やはりスーパー銭湯は規模も満足度も格別で、非日常の王様といえよう!異論は認めない。私は一日休みがあったら、間違いなく遊園地よりもスーパー銭湯を選んでしまいますのだ。
そんなスーパー銭湯好きの私ですが、未だかつて、ここで享受したことの無いサービスがあり今回の記事はその体験記とさせていただきます。
先日、旅行先のスーパー銭湯で人生初の「アカスリ」体験をしてきましたー!!
スーパー銭湯に必ずある、アカスリ。これにはコースがいくつかあって、施術時間や内容がそれぞれ違っている。
15分コースというのが一番安いのだが、これはお試しのコースらしく、ちょっと物足りなさそうだ。
どうせやるなら全身アカスリしてもらいたい!そのひとつ上の30分コースにしよう。金額を見ると、30分コースは3600円と決してお安くない。そりゃそうだよなあ、これは平たく言えばエステだものリッチな値段に躊躇いもありながら、かれこれ23年は、アカスリやってみたいなぁと考えていたことを思い出す。ゴールデンウィーク、旅行先で気分が浮ついていたので、えいやでチケットを購入いたしました。とりあえず、30分コース。
予約した時間に女湯の中に設けられたアカスリのブースへ行くと、ニコニコしたアジア系のおばちゃんたち数人に出迎えられます。
素っ裸で施術台の上に乗せられて、ひぇー何これ恥ずかしとか思っている暇もなく、あき竹城みたいな雰囲気のアジア系のおばちゃん(どうやら私の担当らしい)に全身にローションを塗りたくられます。あ、確認ですが施術師のおばちゃんは皆服を着ています。

全裸で仰向けになり、ローションを塗りたくられる経験がないので、この時点でかなり心がザワつく私。アカスリってこんな感じなのか?!緊張してきたぞ。こんなゾクゾクする思いをさせるからにはさぞかし効果があるんでしょうな??
めりのの担当のあき竹城は、ローションを塗り終わると黄色の金だわしみたいな手袋を両手にはめました。そのまま私の腕を掴んで金だわしでゴッシゴシやりはじめた!おおお、ちょっと強いな、やや痛いけど、まあ、心地は悪くない!
とりあえず想像していたアカスリで安心した。しばらく無言でゴシゴシ……。肩から腕、太ももから足先まで、ゴシゴシ……ゴシゴシされるのも慣れると気持ちよくなってきます。初めは照れもあったけれど、徐々にあき竹城に身体の全てを委ねていきました。
私は美容室とか洋服屋さんで割と積極的にスタッフさんに話しかけちゃうタイプ。なので今回のアカスリでガッシガシやられてる間も、行ってやろうと決めました。
全力アカスリ中のあき竹城に「やっぱゴールデンウィークって忙しいんですか?」と聞いてみた。あき竹城は片言の日本語で、京都弁。
「イソガシネ〜」「旅行客が多いですか?中国の方とか?」「ンー、多いダケド、ヨーロパの人もクルネ〜」「へぇ、そうなんですね〜」
その間も私は台の上に仰向けで、ガシガシ……胸、お腹、内股までガシガシガシガシ……内股もいくんかー!まあ、施術ですものね。どんどんいってください。
「オネサン、今イクツ?」19です!」「アラーー!イチバン良い時ネー!」「あはは、そうですかね」「住むトコロはドコ?」「東京です!」「ヤパリ東京の人はコトバが違うネー、キレイコトバ話すネ〜〜!」
言葉が綺麗!とやけにお褒めいただいた。あき竹城ならぬ、アカ竹城が、隣の台でアカスリしている渡辺えりまでも巻き込んで、東京の人はすごい!若いのにしっかりしてるわ!と言い出して、ちょっと浮かれる私。
話を聞くと、施術師のおばちゃんたちは韓国の方だそうで。現在は京都にお住まいで、周りが京都弁だからか、珍しい標準語に驚いたんだと。私は「京都の女性の話し方のほうが雅で綺麗だと思いますけどね、エヘヘ」と言いましたが、この時もすっぽんぽんでうつ伏せになり、おしり丸出し。恥ずかしいけど、これくらいの方が衒いなく素直になれるのかもしれない。うーん、アカスリ、悪くない。
余談、施術師の韓国のおばちゃん同士はおそらく韓国語で会話をしているのですが、高頻度で飛び出す「片言の日本語から流暢な韓国語への切り替え」の勢いが怖すぎて、私に対しての不満を韓国語でぶちまけているのでは?!とちょっと焦りました。

アカ竹城が韓国出身と言うので、韓国料理の話をしてみた。「やっぱり韓国は料理がおいしいですか?日本人からすると、韓国の人はキムチをよく食べるのかなと思っちゃいますけど「韓国のヒトネー、キムチばかり食ベル思ワレルケドー、ソナコトナイ、他にもおいしいのアルヨ」なるほど、確かに日本人も毎日煮物と焼き魚食べてる訳じゃないよなぁ〜と、思い直しました。自分の知識の乏しさをちょっと恥じる。
仰向けとうつ伏せ、そして左右横向きでガシガシやられたら、最後にシャワーで全身を洗い流されて終了。
どんなもんよ、と触ってみたら、腕も脚もめっちゃくちゃツルツルになっていてびっくりしました。こんなに違うのか!と。ちょうど30分、3600円払っただけあります。全身のスッキリ感ありました。
「ハイ〜!オワリー!アリガトネー」笑顔で手を振るアカ竹城。同じく奥で手を振る渡辺えり、ならぬ、渡辺スリ。
ありがとう、アカ竹城。渡辺スリ。いい思い出になったよ。

全裸の異文化交流、アカスリ。身体だけじゃなく心の角質まで落としてくれたような気分に。みなさんもスーパー銭湯に行った時には是非体験してみてください。
今回初体験でしたが、とても良かったのでまた旅行の時には自分へのご褒美としてアカスリやってみようかなと思いました。次に行く時には私ももうちょっとアカ抜けてるといいな〜〜〜!なんてね!

ではまた〜